学生時代~学問の話も⑥
第115稿です。
大学4年生のとき、大学院入試で合否ラインぎりぎりで辛うじて合格し、進学することになりました。
入学試験は8月でしたが、大学院に進学するのは翌年の4月。
それまでの間は、3月に発表する卒業論文に向けて準備をする必要がありました。
具体的には、大学院生に指導を受けながら、仮説を立て、実験を行い、仮説の検証と考察を行う、というもの。
それを論文という形で成果を纏める必要がありました。
これは、論文を作成するだけではなく、その内容を指導教官などの前で自ら発表を行う必要がありました。
当時は現在のようにパソコンを使ったPowerpointでのプレゼンテーションではありませんでした。
オーバーヘッドプロジェクター(OHPと呼んでいました)という投射機があり、透明なシートに示したい図表や文字を記載、あるいは印刷し、それをスクリーンに投射しながら説明する、というものでした。
いまのようにパソコンですぐ修正、というわけにはいかず、図表や文言が今一つだと思うときは再度その部分のシートを作り直す必要がありました。
いきなりぶっつけ本番で発表をするわけではなく、何度か予行演習を重ねて指導教官のアドバイスを貰いながら最終発表に臨む、というプロセスでした。
最初の予行演習を実施したときです。
同じ研究室に同級生は自分を含めて3人いました。
自分の中では発表のストーリーはできあがっていたと思います。
これを説明して、その次はこれで。という順に。
説明の順序に合わせてOHPのシートも準備していたつもりでした。
だいたいは自分の書いた論文の図表部分を中心にコピーして作ったスライドでした。
いざ自分の発表の段になって、全く流れに沿って説明ができないことに気づきました。
そもそも1枚のスライドに2分も3分もかけて説明することもありましたし、説明順序が出戻ることもあり、スライドそのものも、図表や文字がごちゃごちゃ。とても論旨明確旨明快に説明できたとは言えませんでした。
この発表について教授からどういうコメントを頂いたか憶えていません。
ただ、自分の発表は説得性がなかった、というのが終わった後の自分の感想。
最後に発表した同級生の発表を聞いて、自分との違いに愕然としました。
説明の順序も整然としているし、スライドの切り替わるタイミングが絶妙、スライドそのものもポイントが絞られていて、見る側からするとポイントが瞬時に頭に入ってくる。
極めて優れたプレゼンテーションでした。
論旨明快な説明、次々と繰り出される単純な図解、端的なキーワードによるダイナミックなプレゼンテーションに大きく衝撃を受けました。
自分の緩急のない冗長なプレゼンテーションとの差は一目瞭然。
これが人に物事を説明する、ということなのか、と初めて感じた瞬間でした。
彼は大学には残らず鉄道会社に就職してしまいました。
プレゼンテーションに使ったツールはOHPという過去の技術ではあったものの、いままで私が数多く見てきた中でも5本指に入るほど優れたプレゼンテーションだったと思います。
その後の人生でも、プレゼンテーションの機会があるたびに彼の優れたプレゼンテーションの姿を思い起こしています。
プレゼンテーションの理想の形を示してくれた彼に感謝しています。
次回もしばらく研究室での様子をお話ししたいと思います。
Photo by Markus Spiske on Pexels.com
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これまで複数の中小企業診断士仲間のブログを紹介していたのですが、令和2年度の中小企業診断士二次試験は終了しましたので、試験対策系のサイトの紹介はしばらく見合わせ、以下のみご紹介させて頂きます。
いつも知識をアップデートするのに参考にさせて貰っているサイトです。
hide-syaroushi-shinndannshi.hatenablog.com
ひでのつぶやきブログ-中小企業診断士と社労士のダブル資格をもつ筆者が、わかりやすい言葉でいろんな制度を中心に解説しています。中小企業診断士と社労士という2つの専門家の視点からの解説は勉強になります。