失敗の経験~印象深い出来事④~新製品企画
第156稿です。
前回は学生時代のアルバイトでの失敗をお話ししました。
今回は会社での話です。
新製品を出すことになったときのことです。
当時私は営業部門にいました。
新製品を出すときには、新製品開発会議という打合せを実施する必要がありました。
すでに開発部の方針で開発の方向性は決まっていたのですが、製品化のためには生産管理部、製造部、資材部など社内各部署にも動いてもらう必要がありました。
この製品に取り組むことを社内周知し、各部に取ってもらうアクションを明確化するためにも、この会議を開催する必要があったのです。
そしてそれに先だって新製品開発企画書という書類を準備しておく必要がありました。
これは、新製品の概要を記した書式で、会社の上層部の決裁を取る必要がありました。
当時この製品群の営業担当だった私は、開発部の責任者から、「試作品を顧客に提供するからすぐに新製品企画会議を開催してくれ」と言われていました。新製品企画会議の主催者は営業部門だったのです。
急場しのぎで販売想定価格、市場価格、仕様情報などを書式に埋めて決裁者の印を貰いに行きました。
開発責任者は常日頃から決裁者と打合せを持っているのを遠目から見ていましたので、内容がどういうものであれ、難なく決裁されるものだと思っていましたし、そもそもこの書類は新製品企画会議を実施するのに形式的に必要なものなのだろう、という程度の認識しか持っていませんでした。
決裁者の部屋に行ったときの会話。
決裁者「(作成した新製品企画書を見ながら)これは市場性あるの?当社にどういうメリットがあるの?」
自分「・・・」
決裁者「採算ラインは?」
自分「・・・」
企業の経営者なら当然聞くであろう質問に全く何一つ答えられませんでした。
気を取り直してようやく絞り出した言葉が、
「それでも製品企画会議を〇月×日に予定していまして、その際にこの書類が必要となるんです。」
決裁者には渋い顔をされてこう一喝されました。
「君なあ、企画書ちゅうもんは会議やるためにあるとは違うんやで。」
当たり前のことです。
いまから考えたら何でこんなことを言ったのかわかりません。
たぶん頭の中が空っぽでその製品のことなんて考えていなかったのだと思います。
まったく頓珍漢(とんちんかん)なことを言っていたと我ながら思います。
結局人から言われるがままの仕事をしておらず、この新製品に思い入れも、また自分なりのビジョンも持てていなかったし持とうともしていなかったのが原因でした。
そんな仕事をしているようでは自分がその場に存在している意味がありません。
決裁者にはすでに話は通っていたみたいで企画書には印鑑は貰えましたが、きっと、「こいつ使えないな」、という印象を与えたことでしょう。
今から考えても顔から火が出るくらい恥ずかしい場面でした。
それからというもの、できるだけ自分なりのシナリオを考えた上でアウトプットを心掛けるようにしています。
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