失敗の経験~印象深い出来事⑤~反省会
第157稿です。
前回は新製品開発企画の話をしました。
さて、曲がりなりにもその新製品開発を前に進めることができました。
きちんと性能を満たせば、ある大手メーカーさんが発売を予定していた新商品に搭載される基幹部品として採用される予定でした。
その大手メーカーさんが最終需要家で、生産は東アジアの協力会社で行うスキームでした。
まずは最終需要家の評価をクリアし、その上で、生産委託先での量産チェックを経る必要がありました。
最終需要家の評価は最初の関門だったのです。
技術部が試作品を何度か作り、その大手メーカーに納品し、いろんな評価をしてもらっていました。
当時ある商社を経由して商談を進めていたので、その商社の担当者と幾度となく通ったように思います。
結論から言うと、最終需要家の求める性能が出せず、最初の関門をクリアできず、残念ながら採用には至りませんでした。
そのことを知ったとき、心底残念な思いでした。
と同時に、とても変な話なのですが、自分が心から残念と思ったことに嬉しく感じる気持ちも湧き上がってきました。
人から言われて新製品開発企画書を起こしたものの、自分ごととして捉えられず、決裁者から商品について何も答えられなかった自分が、残念に思うくらい思い入れを持つようになっていたんだな、と再発見したからです。
その思い入れがあったからか、この失敗の知見は残さないといけない、と感じました。
社内の各部を巻き込んで開発、試作を進めたものだったので、「失注反省会」を社内で開催することにしました。
すぐに生産管理、製造、資材、開発、など多くの部署の責任者の皆さんに会議室に集まってもらい、なぜ失注したのか振り返り始めました。
その中である部署の責任者に言われたこと。
「反省、反省と言うが、何を反省するのか。我々は言われた通りに準備をしてそれをこなしてきた。反省せよと言われても困る」
おそらく理屈で言えばその通りです。でもたぶんこういうことを言われてしまうのは、社内一丸になって取り組むための各部との信頼関係を構築できていなかったな、といたく反省しました。
また、「この反省内容はのちに僕のほうで纏めておこうと思います」と出席者に約束したのですが、結局自分の中でうまく纏めることができず、世に出ずじまいでした。
時が経ちみんなそんな約束したことも忘れていただろう頃(自分自身も忘れていました)に、あるとき別の部署の責任者に言われました。
「君、あのとき反省内容を纏めると言ったよな、それまだいまだに出ていないよな」
結局自分でコミットしたことも成しえなかったのです。
おそらくその人からするとあいつは信用できない、という評価になったことだろうと思います。
このことはその後の自分の重しとなっています。
有言実行、言った以上はきちんと最後まで責任をとってやる、この一件以降、ずっと心がけようと思っていることの一つです。
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