国際間転勤②
第171稿です。
前回は東南アジアに赴任しているときに北米への転勤の命令があったことをお伝えしました。
(前回の記事はこちら)
日本のパスポートは世界最強と聞いています。
世界中の国の中で、ビザ(入国査証)なしで行ける国の数がもっとも多いということだそうです。
でもそれは観光で訪問するときに限ったこと。
仕事をするとなればいくら最強のパスポートを持っていてもビザを取得する必要があります。
普通ならば、必要な書類さえ揃えておけば、到着時にビザが貰えるという極めてシンプルな手順だそうです。
ところがちょうどその頃は世界中でコロナが猛威をふるっていた頃。
各国が入国のハードルを上げていました。
赴任国に到着する前にすべての手続を済ませておくよう手順が変更されていました。
ビザ取得のためには、まずは書類の準備が必要です。
パスポートのコピーや写真のほか、取り寄せが必要な最終学歴を示す書類(卒業証明書)など。
この取り寄せだけで2週間くらい。
その上で、指定の健康診断を受けたり、無犯罪証明をとるなどの在留国での手続が必要で、これにも数日間。
新任地到着時にビザ発給というしくみはコロナでいったん休止されていましたので、事前に指紋登録も済ませる必要がありました。ところが指紋登録の装置は在留国の在外公館にはなく、そのために、指紋登録がなくても特例として入国を許可してもらうように要請する追加の手続が必要でした。
いちばん簡単なのは、この指紋登録装置のある日本にいったん帰国した上で、在日の在外公館に立ち寄って指紋登録を行い(赴任国のシステムに指紋を登録するだけです)渡航するという15分くらいで終わるシンプルな手続きでした。
ところが、当時の日本は帰国時に14日間の隔離を求めていました。
これは外国人のみならず日本人も対象でした。
したがって、この手を使うと隔離明けからしか手続ができず、そこから渡航となると新任地への着任が遅れてしまいます。
結局一時帰国での指紋登録は断念、新任国に指紋無しの入国ができる手続を追加で行うことにしてもらいました。
そのこともあってビザを申請しても待てど暮らせどビザ発給の連絡は来ず。
新任地側からはまだかまだかと矢のような督促が来るし、自分ではコントロールできることではないし、ビザが出るまでの間は気持ちの休まるときがなかったように記憶しています。
結果的には異動の連絡を受けてからビザが発給されるまでに3か月半くらいかかってしまいました。
あとでわかったことですが、コロナ感染拡大で旅行が世界中で制限されたせいで入国管理の役所も大きく人を減らしており、その上に在宅勤務が中心になったりしたことで役所に必要なリソースがなく、事務手続が全般的に大幅に遅れていた、という事情もあるようです。
それにしてもなぜ自分ばかり壁ばかりぶち当たっているんだ!と若干恨めしい想いを持ったりした時期もありました。
次回以降もしばらくこの話を続けます。
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