国際間転勤④
第173稿です。
前回は離任に際してコロナの状況が急激に悪化し送別会などがいっさいなくなってしまったことをお話ししました。
コロナの影響、そして国際間移動の苦難、はこれだけにはとどまりませんでした。
転勤にあたり、住居に置いている荷物もすべて引き払って新しい場所に運ぶ必要がありました。
引越業者に来てもらい、見積もりをして貰ったうえで会社で予算を取って引越しをする段取りを進めていました。
(社命による移動なので一定程度は会社負担で搬出できました)
コロナ下で特にアジアの物流が混乱しており、業者からは、空輸にしたほうがいい、海上輸送ではいったいいつ届くかわからない、と言われていました。
そのため、大部分を空輸することとし、航空便で運べない液体物やバッテリーなどごく一部の貨物を海上輸送することにしました。
引越業者が自宅に来て、梱包も含めた準備をしてくれて、ほぼ丸1日かけて搬出を終えました。
搬出したのはビザを取得できた直後の8月中旬でした。
通常は航空便で2週間弱、海上輸送で約3か月が相場でしたから、海運を選んだ一部の貨物を除き、少なくとも自分が北米に到着する8月下旬の少し後くらいには大部分の貨物を受領できるだろうと考えていました。
ところが蓋を開けてみると、海運だけでなく、空輸もコンテナが長蛇の順番待ち状態、私が北米に到着していた9月の時点でも東南アジアを出発する便が確定できず、引越業者に何度確認してみても「わからない」の繰り返し。
そうこうしているうちに、物流の逼迫で空輸運賃が大幅に跳ね上がり、予算上の制約から空輸を予定していた貨物の多くを海上輸送に切り替えて、費用を抑える手配をせざるを得なくなりました。
結局現地から貨物が空輸できたのは自宅からの搬出後約2か月経過した10月。
その上、現地業者は、私に対して1,000km離れた港湾まで輸入通関手続のために出向け、という無茶なことを言い出して閉口しました。(業者曰く、輸入通関は本人が出向く必要がある、とのこと)
結局現地の業者に交渉し代理通関を頼みました。
実際には現地の日系業者から委託を受けていた現地会社が、この日系会社が代理通関をできる(たぶん特別な許可を持っているということだと思います)ことを知らなかった、ということだったのだろうと思います。
空輸の貨物は10月末には受け取ることができましたが、コロナの混乱と国際間のありがちな連携の欠如(搬出業者と搬入業者は異なる)によって右往左往させられた引越劇でした。
結局、海上輸送をした残りの貨物は搬出してから約半年後、搬出したこともほぼ忘れかけていた頃にようやく到着しました。
一部の物品の損傷や紛失のおまけつきで。
結局この国際間移動にかかった費用は当初の見積もりのほぼ2.5倍にまで膨れ上がっていました。
会社の中で予算枠の再交渉に一定の労力を費やしたことは言うまでもありません。
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