2社目:営業部配属に至るまで
第8稿です。
製造技術者としてUターン転職した2社目地元企業での話です。
入社3か月くらい経過したある日、部長から営業への異動を言い渡されました。
営業にはもともと興味はありました。
営業は製品やサービスだけではなく全人格を売り込む職業だ、と思っていました。(いまもそう思います) 当時定期購読していた雑誌の影響も多々あるかもしれません。 ただ、自分はかなり偏った人間だと自己分析していて、全人格で戦ってとても営業の世界で生き残れるとは思えませんでした。
でも将来的には全人格で戦っていけるようにしたい、何とかしたい、営業を経験することで自分の足りないところを補えるのではないかという思いがありました。
だから前職の入社時から面談があるたびに営業に行きたい、と要望し続けていました。 適性はないことをわかっていながら。
何で不得意なことをわざわざ志願するのか、と奇異に思われる方もいると思います。 でもやはり自分が偏った人間でいることが許せず、自分に外圧をかけて自分を変えたいと思っていました。
新工場も立ち上げ、会社として営業力を強化する必要性があったため、本人の希望がマッチしたことになります。
ずっと技術しかやっていなかったので新天地への異動は嬉しかったですね。
でもその喜びの殆どは、これで自分を変えられるかもしれない、と思ったことに起因しているように思います。
いま思えば所属を変えても自分から変わる努力をしないと変わることはできない、というのが実際でしたが。
異動の喜びを母に伝えたときの反応が私の浮かれた考えに冷水を浴びせました。 「営業って買ってください、買ってください、と頭を下げるところでしょう?そんなところに行って何が面白いの??」
(営業を天職とされる皆さん、失礼な物言い、申し訳ございません。父は公務員でしたし母の中ではそれほど異次元の世界だったのです)
確かにそうかもしれない。自分はお客様に頭下げられるのか?わざわざ自分にとって難易度の高いところに挑戦して大成するのか? 果たして自分は正しい選択をしたのか?技術屋として仕事をしていたほうがよかったんじゃないか?
いろいろ不安な思いが頭の中を渦巻き始めました。
でも時すでに遅し、もう賽は投げられていました。
実際に異動して仕事を始めてみると。。
やはり苦労の連続でした。
次回はその苦労話を中心にお話したいと思います。