試験の話~中小企業診断士⑪~実務補習
第147稿です。
2019年度試験の合格発表は12月25日、クリスマスの日でした。
いまどきはインターネット上で合格発表されます。
口述試験は過去の実績では99%が合格するのでそう心配はしていなかったのですが、それでもきちんと答えられたか全く自信がなかったので不安ではありました。
中小企業診断士協会のサイトで番号があることを無事確認でき、長かった試験生活にピリオドを打ちました。
これでFP1級、中小企業診断士、とあわせて資格取ろうと思い立ってから8年経過していました。
中小企業診断士の場合、試験合格でそのまま資格取得とはならず、実務補習あるいは実務従事を経なくてはいけません。
これは、机上で学んできた知識を実際に中小企業の現場で確認し、実践する場です。
教科書や参考書の知識だけではなく、それを実践で使えるようにする、という意味でいい制度だとは思うのですが、私のように海外にいる場合は、なかなか大きなハードルでした。
中小企業診断士協会は実務補習の機会を提供しています。
そこで中小企業の診断や助言をする場があるのですが、当然すべて日本で実施されます。
そして、資格を取得するためには、全部で15日間の実務補習を受けるか、実務従事(実際の実務)を行う必要があります。
実務補習は企業で働く人のことを考慮して、すべて土日を含んだ日程で計画されています。
海外から何度も帰国して受講することも理論的には可能でしたが、お金もかかるし、そもそも本業であるこっちの仕事をそっちのけで帰国を繰り返すわけにもいかず、少し悩んでいました。
そこでたまたま見つけたのが海外での実務補習の機会。
全6日間の日程でしたが、2日間は東京で研修、4日間は東南アジアに進出している中小企業さんの現場にお伺いし実際に診断、助言をさせて頂くというもの。業務上の都合で休暇が取れるかどうかはわかりませんでしたが、とにかく申し込むことを優先しました。
Webサイトに予告は出ていたので申し込み当日までスタンバイ、申し込み開始の瞬間に申し込みました。
定員6名の枠はあっという間に満席になったように思います。
あとで聞いた話だと、新規資格取得のために受講したのは私だけ、あとの受講生の方はすべて資格更新のための受講だったようですので、実はあまり知られていなかったのかもしれません。
(中小企業診断士は5年ごとに更新が必要で、その期間で企業診断実務を30日間、及び理論政策研修という座学を5回以上受講する必要があります)
診断先はITの会社さんでした。事前に提供された資料を読み込み、他の受講生の方とその企業さんをいかによくするかについて議論をするのは非常に楽しかったし、勉強になりました。
何よりもチームで助言差し上げたときに経営者の方に喜んでいただいたのがいちばん嬉しかったですね。
東京での研修、東南アジアでの実地診断いずれもコロナ前に実施できたので滑り込みセーフでした。
コロナの余波もあり、当面はこの海外での実務補習は凍結だそうです。
休みをとれるかわからないから、と逡巡していたら機会を逃していたかもしれません。
次回以降は引き続き資格取得までの話をしようと思います。
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試験の話~中小企業診断士⑩~口述試験
第146稿です。
前回はようやく中小企業診断士の2次筆記試験にようやく合格した話をしました。
そしてその合格発表を機内で確認したときの話は以前に以下でお話ししました。
2次筆記試験を通過すると2次口述試験というものがあります。
合格率は例年99%超なので、きちんと会場に赴き、面接試験を受ければ合格すると思われます。
昨年の今ごろは私も一時帰国し受験しました。
口述試験の受験票を見て、ようやくここまで来たか、と感慨深いものがありました。
試験開始時間は10時36分、というキリのよくない時間、面接会場はある大学でした。
面接は、広い部屋に2つの面接官がいて、私は1人で対応する、という形でした。
この試験は、それに先だって行われた2次筆記試験の事例文に出てきた内容を基に質問されるというものでしたので、筆記試験に出てきた事例文の中の企業の特徴などはきちんと頭に入れておく必要がありました。
こう聞かれたらこう答える、といった準備はある程度していたつもりでしたが、さすがに面と向かって聞かれると緊張するものです。
質問は4つあったと思います。
そのうちの2つしか覚えていないのですが、次のような質問だったと思います。
C社について、X社との取引は繰り返し生産ですが、何に留意するべきですか?
D社が原価率を下げたい場合はどうすればいいですか?
それに対してどういう回答をしたのか、実は明確には記憶していないのですが、知っている知識を繋ぎ合わせて答えていたように思います。
きちんと筋道立てて答えた実感もないままあっという間に試験は終わりました。
そして翌日の朝に再度赴任地に戻りました。
その数日後に晴れて合格の通知を郵送で受け取りました。
口述試験ののちに、自分の筆記試験での得点を開示請求することができます。
結果は、事例Ⅰ 62点 事例Ⅱ 59点 事例Ⅲ 57点 事例Ⅳ 66点 計244点 でした。
合格点は240点ですので、まさにギリギリで合格した、ということになります。
長かったこの試験への取り組みはこれでやっと終了しました。
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試験の話~中小企業診断士⑨~4回目の挑戦
第145稿です。
前回は3回目の中小企業診断士試験を受けた話をしました。
さすがに海外から帰国して受験しなくてはいけなかったし、受験生のカテゴリーからすると多年度の域に突入してきたし、試験の本質も掴めていなかったしその自信もなかったので、もうやめようかなと思ったりもしました。
それを妻に話すと、「ここまでやってきたんだからもったいないんじゃない?」と言う。
その言葉で今一度チャレンジする気持ちになりました。
海外にいては参考書の入手も簡単ではなく、周囲のレベル感のわからない独学の限界も感じていたので、インターネット上で解答を添削、返却してくれる講座を見つけて活用することにしました。
4度目の2次試験の学習を進めながら気づいたこと。実は試験で毎回のように問われる論点があるということでした。
それに対して、今までは毎回時間をかけて考えて解答をひねりだしていたのですが、解答の定石のようなものをきちんと理解して自分の中に定着させていないのが問題だったと気づきました。
事例文は毎回違ったものが与えられるけれども考えるべき観点は毎回似通っていることに気づきました。
自力ではそこに気づけなかったと思います。それなりのコストはかかりましたが、少し試験の本質に近づいた気がしていました。
通信講座にはいくつかの課題があり、毎回〆切がありました。
それをペースメーカーにしながら学習を進めていました。
中小企業診断士とは企業の経営診断をするのが仕事なので、経営課題に直面したときに、瞬時にいろんな観点から課題を検討し、その企業にもっともふさわしい解を導き出す必要があります。
この2次試験はそのプロセスを紙上で試されている、という風に捉えることができるようになりました。
2次試験は、事例Ⅰ(人事・組織・戦略)事例Ⅱ(マーケティング)・事例Ⅲ(生産)・事例Ⅳ(財務会計)と4つの科目があります。
事例Ⅳだけは計算が中心となりますが、不合格時代はわかっていても点が取れないのが課題でした。
こちらも実はきちんと知識が定着していないことが問題だとわかりましたので、基本的なことが目をつぶってもできるくらい徹底的に反復してやりました。
こういう経緯を経て、この年の学習は、やるたびに力がついているような感覚がありました。
そして2019年10月。
一時帰国して臨んだ4回目の試験。
試験後はできたという手ごたえも特になかったですが、失敗したという感覚もありませんでした。
そして12月の合格発表。
やっと2次筆記試験に合格しました。
コロナウィルスが世界を席巻する直前でした。
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試験の話~中小企業診断士⑧
第144稿です。
前回は中小企業診断士試験を2度目に受けた話をしました。
1次試験の合格権利は1度だけ持ち越せる制度になっていたのですが、この不合格によって次の回は1次試験からやり直しとなりました。
そのときにはすでに海外赴任となっていました。
1次試験はある意味時間をかけて暗記すれば何とかなる部分があり、試験直前の数日間は部屋に籠って対策をしていました。
そして一時帰国し受験。
赴任地に再渡航する頃には正解が発表されていましたので移動中に自己採点しました。
その結果は、経済学 64点、財務会計 52点、企業経営理論 60点、運営管理 62点、経営法務 44点、経営情報システム 64点、中小企業経営/政策 63点 というもので、合計409点。
初年度に受けたときの自己採点は417点でしたから大幅に得点が下がったことになります。
さすがにこれは受からないと思いました。
海外からわざわざ帰国して受けたのにこの結果か。。と暗澹たる思いで帰途に就きました。
科目合格制度というのがありますので、60点を超えた科目は合格となります。
そのため、60点を超えなかった財務会計、経営法務の2科目を翌年度に受けるかなあ、この2科目の合計で6割を超えれば翌年は権利を得られるなあ、でもいずれも苦手だし危険だな、などといろんな考えが頭に渦巻いていました。
そんな思いで迎えた1か月後の合格発表。
驚いたことに合格していました。
その年の経営法務は極端に難しかったようで、一律8点の加点の得点調整が発表されていました。8点というのはこれまでにない大量加点でした。
でもそれでも合格点の420点には3点足りません。
調べてみるとある科目で自己採点が漏れているものがあり、その部分の正解をカウントしていませんでした。
そういうわけでまたもギリギリでの合格。
そして3度目の2次試験に臨みました。
すでに海外から通学等はできないため、Facebookでオンラインの勉強会一本で対策をしていました。
既に中小企業診断士試験を突破した人からFacebook上で自分の答案にアドバイスを貰う、というものでしたが、これは遠隔地にいる身としてはありがたかったです。
でもまだこの試験の何たるかを身につけるに至っていませんでした。
再度一時帰国して受けた2次試験は、いつも通り事例文に振り回されて、設問どれ一つとしてきちんと書けた解答もなく、またしても失意の念を抱いたまま再渡航の途に就きました。
結果は案の定不合格でした。。
なかなか壁を突破できず、お金も時間もかかるし、もう受けるのやめようかな、と思い始めていました。
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試験の話~中小企業診断士⑦
第143稿です。
前回は1回目に中小企業診断士試験を受験したときの話をしました。
奇跡的な得点嵩上げの恩恵で1次試験は合格することができましたが、幸運だけで2次試験を突破できるわけもなく不合格でした。
この試験の場合、1次試験の合格権利は次回に受験するまで保有できますので、翌2017年は2次試験対策に注力することにしました。
ちょうど息子の中学受験とも重なっていたこともあり学習時間の捻出は大変だったように思えます。
もちろんそれは学習がはかどらなかった言い訳にはなりませんが。
特に予備校等も通わず、ボランティア団体の勉強会に参加したり、公開模擬試験を受けたりして自分の答案のレベル感を確認していました。
勉強会では数名がグループとなって過去問のある年度の設問に対する解答を作り持ち寄り、議論するスタイルでした。
議論の最後にはベスト答案といって、参加者の中からどの答案が優れているかグループ内で決めて発表するような取り組みもありました。
1年前にも同じ勉強会に参加していたのですが、自分の答案は全く端にも棒にもかかりませんでしたが、ごく稀にベスト答案として選ばれることもありました。少しは進歩していたのかもしれません。
また、公開模擬試験のある科目で100点満点の95点という点数が出たことがあり、自分でもかなり驚いたこともありました。
それでもいずれも再現性がなく、一過性のものでした。なぜそれがいい答案として評価されたのか、普段書いている答案がなぜダメなのか、本質的なことを掴むに至っておらず、自分なりに時間をかけて学習を重ねた割にはいつも的を射た解答ができているかどうか全く自信がなく、いつも雲を掴むような思いでやっていました。
結局自分の中でいい答案、的を射た答案の基準が全くなかったし、参考書を読んでもそれをつかみ取るに至らなかったため、いつも時間をかけて事例文を読んで、たまに当たればいい点が出る、ということでしかなかったと思います。
そんな状態では合格への力がついたとは到底言えず、10月の本試験でも全く自分が何を解答しているかわからないまま4科目の試験を終了しました。
降りしきる雨の中、試験会場から打ちひしがれて帰途に就いたのを最近のことのように憶えています。
案の定不合格でした。
そのあとほどなくして東南アジア赴任が決まりました。
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試験の話~中小企業診断士⑥
第142稿です。
前々稿、前稿は中小企業診断士2次筆記試験の合格発表日を跨いでしまったので少し変則的になってしまいました。
その前に自分の受験体験を話し始めていました。
2016年に受けた中小企業診断士の1次試験は自己採点417点で、合格点に3点足りず、不合格を確信していました。
そして迎えた9月の合格発表。
なんと受験番号が合格者リストの中にあるのを見つけました。
その年の試験は、それまでは得点を稼ぐ科目と思われていた経営情報システムが大幅に難化し、ITの専門家でなければわからないような問題のオンパレードだったのですが(自分の自己採点結果は100点中44点、足切り寸前の点数でした)、受験生全体でも難しかったのか、一律2点加算されました。
さらには、7科目全体でも難易度が例年に比べて高かったのでしょう。合格基準が60%から59%に緩和されていました。
過去にも特定科目に一律加点するという措置はなされてきたことがありますが、全体の点数のハードルを下げたのはこれが初めてだったと思います。
これで合格ラインが420点から413点に下がりました。(満点は700点)
ここまでは幸運だったとは思います。
ただその後の試験はそんなに甘くありませんでした。
2次試験は事例文が与えられて、それに関する設問に対して制限字数の中で論述するという形式です。
2次試験に向けた勉強を大手資格学校の直前講座を受けたり、受験支援団体の勉強会に参加したりして進めていましたが、全くその内容は雲を掴むようなものでした。
勉強会に出ると周りの受験生の答案も確認する機会が多くありましたが、自分の稚拙な答案と比較すると雲泥の差でした。
自分の解答は事例文に書いてあることから飛躍してしまったり、正確な知識に基づいていなかったり、何を言いたいのかわからなかったり、とにかくひどい内容で、他の受験生に後悔するのも恥ずかしいレベルで、強烈な劣等感を感じたことは強烈に憶えています。
その感覚で本質を掴めないまま試験に突入、本番で何を訊かれているか充分に意識もできずひたすら解答欄を埋めただけ、という状態。
結果は案の定の不合格。
こうして試験1年目は終わりました。
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試験の話~中小企業診断士⑤
第141稿です。
中小企業診断士試験2次筆記試験合格発表から一晩明けました。
受験した6,388人のうち1,175人の合格、合格率は18.4%、ほぼ例年通りでした。
2020年は特にCOVID-19対策で右往左往させられた年でしたからこの試験に限らず、いろんな試験に挑戦された方は本当に大変だったことと思います。
関わらせて頂いた受験生の方の中に合格された方もいれば残念ながら今回は涙をのんだ方もいて、悲喜こもごも、何とも複雑な気持ちです。
私の中小企業診断士仲間が、過去に受け続けた試験の結果を知るたびに自身が都度感じていた葛藤をコメントしています。
まさにこの通りだと思います。
受験生の一人一人がご自身のキャリアについていろんな思いを抱いて受験されていることでしょう。
合否結果がそれぞれの方々にいろんな意味でそれなりのインパクトがあることも充分に想像ができます。
でも結局それぞれが自分で乗り越えないといけないのだろうと思います。
半年くらい前からこのブログで駄文を綴っていますが、自分の経験してきた様々な葛藤の話をしています。
(以下目次ご参照)
自分の中ではそれらの葛藤を乗り越えられたとは思えず、常に葛藤の中にあって乗り越えている感がないまま次の葛藤と格闘しているといった感じです。
皆さんが同じような思いを抱いているかどうかはわかりません。
でもそういう過去や現在の葛藤との格闘の歴史が少しでも誰かが葛藤を乗り越えるための何かのお役に立てたらいいなとは思います。
今回合格された方には最終合格、そして中小企業診断士としての活動まで、サポートさせて頂こうと思っています。
次回からはまた軌道に戻って、自身の中小企業診断士試験の話を続けようと思います。
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